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フリーランスの単価の決め方 — 希望年収から逆算する時間単価

「この仕事、いくらで受ければいいのか」——独立してから一度も悩まなかった人はいないはずです。周りの金額を見て何となく決めた単価は、忙しいのに手元にお金が残らない状態を生みがちです。この記事では、希望年収から必要売上・稼働可能時間をたどって時間単価を逆算する手順と、案件単価への変換、値上げの切り出し方までを整理します。

「なんとなく相場」で単価を決めるとどうなるか

単価を決めるときにいちばん多いのが、知り合いの金額やSNSで見かけた数字を参考に「だいたいこれくらい」で決めてしまうパターンです。楽ですが、危うさが3つあります。

解決策はシンプルで、他人の数字ではなく自分の家計と稼働時間から逆算することです。逆算した数字が「相場より高いな」と感じたら、それは値付けの問題ではなく、提供する価値の伝え方や案件の選び方を見直すサインだと考えられます。

希望年収から時間単価を逆算する4ステップ

手順は次の4つです。ここでは仮に希望年収(生活のために手元に残したい額)を600万円として計算してみます。金額はあくまで計算の例で、いくらが適切かは事業内容や暮らし方によって変わります。

  1. 必要売上を出す——手元に残したい額に、事業の経費と、税金・社会保険料の見込みを足します。自宅兼事務所なら家賃や通信費の一部も経費になりうるので、家事按分の考え方の記事で費目を洗い出しておくと精度が上がります。仮に年間経費100万円、税・社会保険料の見込みを150万円とすると、必要売上は600+100+150=850万円です。
  2. 稼働可能時間を出す——年間の労働日数×1日の作業時間。仮に月20日×12か月=240日、1日8時間なら1,920時間です。ここから休暇や体調不良の分を差し引きます。
  3. 非稼働時間を引く——ここが最重要です。営業・見積作成・請求・経理・打ち合わせ・学習といった、直接お金にならない時間が必ず発生します。全体の3割前後を見込む人もいれば、営業が多い業種ではもっと大きくなります。1,920時間の3割を引くと、売上に直結する時間は約1,344時間です。
  4. 割る——850万円÷1,344時間=約6,300円。これが「この暮らしを維持するために必要な時間単価」の目安になります。

年収・月給・時間単価の行き来は時給・月給・年収 変換ツールで確認できます。稼働時間の条件を変えながら何度か試すと、「週4日にするなら単価はいくら必要か」といった判断もしやすくなります。

なお、税金や社会保険料の見込み額は、所得の水準や自治体、加入している制度によって変わります。この記事は2026年7月時点の一般的な考え方の整理であり、具体的な税額の計算や最新の要件は国税庁の公表情報を確認するか税理士にご相談ください。

時間単価を案件単価に変換する

時間単価が出ても、実際の見積書に書くのは「1件いくら」であることがほとんどです。変換の考え方は、その案件に投じる総時間を、着手前に洗い出すことに尽きます。

見落としやすいのは、作業そのもの以外の時間です。ヒアリング、資料の読み込み、修正対応、確認待ちの間に発生するやりとり、納品後のフォロー。ここを含めずに見積もると、時間単価は簡単に半分になります。修正回数の上限や、対応範囲をどこまでとするかを見積書に書いておくと、単価を守る役目も果たします。

また、報酬の種類によっては源泉徴収が行われ、実際の入金額が請求額より少なくなります。逆算した時間単価は税引き前の売上ベースなので、入金額と混同しないよう注意してください。案件単価が決まったら、見積書ジェネレーターで条件と一緒に文書化しておくと、後の「言った・言わない」を減らせます。

値上げを切り出すときの考え方

逆算してみると、既存案件の単価が必要額に届いていないと分かることがあります。値上げの相談は気が重いものですが、次の順番で考えると話しやすくなります。

  1. 数字を先に固める——「いくらにしたいか」ではなく「いくら必要か」を計算しておきます。根拠のある数字は、感情ではなく条件の話にしてくれます。
  2. タイミングを選ぶ——契約更新、年度替わり、作業範囲が広がった時点など、区切りに合わせるのが自然です。
  3. 範囲とセットで話す——単価だけを上げる交渉は相手も判断しづらいので、「この範囲までなら現行、ここから先は新単価」と選択肢の形にすると合意しやすくなります。
  4. 断られた場合の行き先を先に考えておく——代替の案件や、稼働を減らす選択肢を持っていると、落ち着いて話せます。

すべての取引先に一斉に伝える必要はありません。単価の低い案件から順に見直し、空いた時間を新しい条件の案件に充てていく、という進め方も現実的です。

よくある質問

Q. 逆算した単価が、周りの金額よりかなり高くなりました。おかしいでしょうか。

計算式が間違っていなければ、その金額が今の暮らしと稼働条件から必要な水準ということになります。差が大きい場合は、非稼働時間の見積もりが厚すぎないか、経費に生活費が混ざっていないかを見直してみてください。それでも差が残るなら、稼働時間を増やす・経費を下げる・提供内容を変えるといった別の調整が必要になります。

Q. 駆け出しのうちは安く受けて実績を作るべきですか。

実績づくりのために低単価を選ぶこと自体は判断のひとつですが、期間や本数をあらかじめ決めておくことをおすすめします。終わりを決めずに続けると、その単価が自分の標準として定着し、後から上げにくくなります。

Q. 月額の顧問契約や継続案件はどう計算しますか。

月あたりに拘束される時間を見積もり、月額÷その時間で時間単価に直して比較するのが基本です。継続案件は営業の手間が減るぶん、単発より低めでも成り立つ場合がありますが、拘束時間が読めない契約は実質単価が下がりやすいので、対応範囲を書面で決めておくとよいでしょう。

まとめ

単価は「相場を調べて決めるもの」ではなく、希望年収→必要売上→稼働可能時間→時間単価という順で計算するものです。一度この式を持っておけば、案件を受けるかどうかも、値上げを切り出すかどうかも、感覚ではなく数字で判断できます。まずは時給・月給・年収 変換ツールで、今の自分の時間単価を出すところから始めてみてください。

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