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源泉徴収ってそもそも何? 請求書を書く前に知っておくこと

「請求書を出したのに、振り込まれた金額が請求額より少ない」——フリーランスが最初につまずくのが源泉徴収です。この記事では、なぜ差し引かれるのか、いくら引かれるのか、そのお金はどこへ行くのか、請求書にはどう書けばよいのかを、2026年7月時点の一般的な取り扱いにそって順番に整理します。

源泉徴収は「取引先が先に納めてくれる所得税」

源泉徴収は、報酬を支払う側(取引先)が支払額の一部をあらかじめ差し引き、あなたの代わりに国へ納める仕組みです。差し引かれたお金が取引先の懐に入るわけではなく、原則として取引先が税務署へ納付します。つまりあなたの所得税の「前払い」が、支払いの時点で自動的に行われていると考えると分かりやすいです。

この仕組みが使われるのは給与だけではありません。個人に支払われる報酬のうち、原稿料・デザイン料・講演料・翻訳料・一定の士業への報酬など、あらかじめ決められた種類のものが対象になります。プログラミングやWeb制作、コンサルティングなどは契約内容や成果物の性質によって扱いが分かれることが多く、同じ「制作」でも取引先ごとに源泉あり・なしが違うという状況はよく起こります。迷ったら取引先の経理担当に確認するのが早道です。

また、支払う側の事業形態によっては源泉徴収の義務がないケースもあります。引かれていないからといって、ただちに何かが間違っているとは限らない、という点も覚えておくと落ち着いて対応できます。海外の企業や個人からの支払いも、国内の源泉徴収の枠組みとは別の扱いになることが多く、国内の取引先と同じ感覚で考えないほうが安全です。

税率は10.21%、100万円を超えた部分は20.42%(2026年7月時点)

2026年7月時点で、報酬・料金に対する一般的な源泉徴収税率は支払額100万円以下の部分が10.21%、100万円を超える部分が20.42%です。端数の0.21%・0.42%は復興特別所得税が上乗せされているためで、所得税分に復興特別所得税を足した形になっています。

計算の形は次のとおりです。

たとえば報酬50万円なら51,050円、報酬150万円なら102,100円と102,100円を足して204,200円が源泉徴収税額になります。1円未満の端数は切り捨てて扱うのが一般的です。手元で検算したいときは 源泉徴収税 計算ツール に金額を入れれば、税額と差引後の手取りが同時に出ます。請求書を作る前に手取りを把握しておくと、資金繰りの見通しが立てやすくなります。

消費税との関係 — 原則は税抜額を基準に計算する

ここが一番間違えやすいところです。源泉徴収税は、報酬額と消費税額が請求書で明確に区分されている場合、税抜の報酬額を基準に計算してよいという取り扱いが一般的です。区分せず税込総額だけを書くと、税込金額を基準に計算されることがあり、その分だけ差し引かれる額が増えます。

数字で見ると差は明確です。報酬30万円に消費税3万円(税率10%)が乗る場合、税抜30万円を基準にした源泉は30,630円。一方、税込33万円を基準にすると33,693円となり、3,000円以上の開きが出ます。最終的には確定申告で精算されるとはいえ、当月の入金額が変わるのは無視できません。請求書では「報酬額」「消費税額」「源泉徴収税額」を必ず別の行に分けて書くのが実務の基本です。消費税額そのものの計算は 消費税計算ツール で確認できます。

請求書への書き方と、確定申告での精算

請求書では、明細の下に次の順で並べると読み手に親切です。

  1. 報酬額(税抜の小計)
  2. 消費税額
  3. 小計(税込)
  4. 源泉徴収税額(△で表示)
  5. お支払金額(差引後の実際の振込額)

源泉徴収税額をマイナス表記にしておくと、経理担当がそのまま処理しやすくなります。取引先によっては請求書に源泉欄がなくても支払時に差し引く運用のところもあるため、初回取引では「源泉徴収の対象になりますか」と一言確認しておくと行き違いを防げます。書式ごと用意したい方は 請求書作成ツール に源泉欄があります。記載項目の全体像は 請求書の書き方 の記事にまとめました。

そして年に一度の確定申告です。1年間に差し引かれた源泉徴収税額の合計は、申告書で計算した所得税額から差し引きます。前払いが多すぎれば還付、足りなければ追加で納付という精算の形です。経費や所得控除が大きい年は還付になることが多いですが、金額は個別の事情によって変わります。取引先から届く支払調書があると集計はラクになるものの、必ず届くとは限らないので、自分の売上台帳と入金記録から源泉額を積み上げて把握しておく習慣が役立ちます。制度の詳細や最新の要件は、国税庁の公表情報や税理士にご確認ください。

よくある質問

Q. 源泉徴収されていない取引先があります。私の側で何か手続きが必要ですか?

源泉徴収の義務は原則として支払う側にあります。差し引かれていない場合でも、受け取った報酬は確定申告で申告し、所得に応じた所得税を納めることになります。受け取る側が源泉分を別途納めるわけではないのが一般的ですが、扱いが不明なときは取引先に確認しておくとよいでしょう。

Q. 交通費や実費の立替分にも源泉はかかりますか?

報酬と一体で請求する交通費などは、報酬に含めて源泉徴収の対象とされることが多いですが、取引先が交通機関へ直接支払う場合など、扱いが分かれるケースもあります。判断は契約や実態によって変わるため、金額が大きいときは事前にすり合わせておくと安心です。

Q. 法人化すると源泉徴収されなくなりますか?

報酬・料金の源泉徴収は個人への支払いを対象とするものが中心で、法人への支払いでは対象外となるものが多くあります(一部に例外もあります)。ただし法人化には社会保険や申告手続きなど別の負担も伴うため、源泉の有無だけで判断せず、全体で比較して検討することをおすすめします。

まとめ

源泉徴収は「取られている」のではなく「先に納めている」だけ、というのが要点です。税抜額を基準に計算する、請求書で項目を分けて書く、年間の合計を自分で把握しておく——この3つを押さえておけば、入金額のズレに戸惑うことも、申告時に慌てることも減っていきます。

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