メールに届いた請求書PDF、管理画面からダウンロードした領収書。とりあえずダウンロードフォルダに入れたまま、月末に「あの取引先の請求書どこ?」と探し回っていませんか。この記事では、電子で受け取った証憑を後から探せる形で残すための、ファイル名とフォルダのルールの決め方を紹介します。
まず前提として、2026年7月時点では、メールやWebサイトを通じて電子データで受け取った請求書・領収書は、原則として電子データのまま保存することが求められています。根拠となるのが電子帳簿保存法で、PDFで届いたものを印刷して紙のファイルに綴じ、元のPDFを消してしまう——という運用は、以前は当たり前でしたが、今は見直しが必要になっている、というのが大きな流れです。
ただし要件の細部や経過的な取り扱いは改正されることがあり、事業の規模や取引の形態によって扱いも変わります。最新の要件は国税庁の公表情報を確認するか、顧問の税理士にご確認ください。この記事で扱うのは、制度の細かい条件ではなく「どう整理しておけば、あとで困らないか」という運用の部分です。
逆に言えば、運用側でやることはそう多くありません。置き場所を決める・名前の付け方を決める・月に一度まとめる。この3つを最初に決めてしまえば、あとは同じ動作を繰り返すだけになります。
電子保存でいちばん効くのがファイル名の統一です。後から証憑を探すとき、たいていは「いつの」「どこの」「いくらの」書類か、のどれかを手がかりにします。であれば、その3つをファイル名に入れておくのが素直です。
おすすめは 日付_取引先_金額 の順。たとえば「20260715_〇〇商事_88000.pdf」のような形です。日付を先頭に置くと、フォルダ内で名前順に並べただけで時系列になります。日付は年4桁から始めて区切り記号を入れない書き方にしておくと、並び順が崩れません。金額は税込か税抜かをどちらかに統一し、円マークやカンマは入れないのが無難です。
加えて、書類の種類が混ざる場合は先頭か末尾に「請求」「領収」の一語を足します。「20260715_〇〇商事_88000_請求.pdf」といった具合です。ここまで決めておくと、検索窓に取引先名を打ち込むだけで関連書類がまとまって出てきます。自分で発行した書類も同じ規則で名前を付けると、受け取ったものと出したものを同じ感覚で扱えます。請求書ジェネレーターや見積書ジェネレーターで出力したPDFも、保存時に同じ名前に直しておきましょう。
フォルダ構成は凝りすぎないのがコツです。取引先ごと、案件ごとと細かく切ると、どこに入れたか自分で分からなくなります。実務では 「証憑/2026/07」 のように、年と月の2階層あれば足ります。ファイル名に取引先と金額が入っているので、階層で分類する必要はもうありません。
そのうえで、月末にその月のフォルダを開き、名前が規則どおりか、抜けている取引がないかをざっと見ます。ここで「入っているはずのものが無い」と気づけるのが、月次で締める大きな利点です。経費の入力とまとめてやるなら、月に一度「証憑の日」を作ってしまうのが現実的です。
細かい経費レシートのように枚数が多くて一枚ずつでは扱いにくいものは、月ごとに1ファイルへまとめてしまう手もあります。PDF結合ツールを使えば、複数のPDFを順番に並べて1つにできます。このツールはお使いの端末の中だけで処理し、ファイルをサーバーへ送信しませんので、取引先名や金額が載った書類でも安心して扱えます。ただしまとめた場合は、個別の検索性が下がる点は理解しておきましょう。金額の大きい取引や、後から参照する可能性が高いものは、単独のファイルのまま残しておくほうが探しやすくなります。
電子で保存するときに論点になるのが、あとから内容を書き換えられないようにする仕組みです。専用のシステムを入れる方法もありますが、社内の取り扱いを文書で決めておく「事務処理規程」を用意するという考え方もあります。誰がいつファイルを保存するか、訂正や削除が必要になったときはどう記録するか、といった手順を一枚の文書にまとめ、それに沿って運用する、というものです。一人で事業を営んでいる場合でも、自分向けのルールとして文章にしておくと、運用が崩れにくくなります。
どの方法を選ぶかは事業の状況によって適切な形が変わりますし、規程に盛り込むべき内容も2026年7月時点の要件に基づくものです。導入前に国税庁の公表情報や税理士に確認するのが確実です。
一方、店頭で手渡された紙のレシートや、郵送されてきた紙の請求書は、紙のまま保存する扱いが基本です。スキャンして電子で保存する方法も用意されていますが、そちらはそちらで別の要件があります。最初は「電子で来たものは電子、紙で来たものは紙」と割り切り、無理に片方へ寄せないほうが、運用が続きます。慣れてきてから、紙を減らす方向へ寄せていけば十分です。
2026年7月時点では、電子データで受け取ったものは電子のまま保存することが原則とされています。紙に印刷したものを控えとして手元に置くのは自由ですが、元のPDFを消してしまうのは避けたほうが無難です。判断に迷う場合は、個別の事情を含めて税理士にご相談ください。
すべて遡って直す必要は必ずしもありません。ただし探しにくさは残るので、年度の切り替わりなど区切りのよいところから新しい規則に統一し、それ以前は「旧ルール」として別フォルダにまとめておく、といった折衷案が扱いやすいです。
明細は支払いの記録ではありますが、何を買ったかまでは分からないことが多く、それだけで足りるとは限りません。購入先が発行した領収書や購入明細もあわせて保存しておくのが一般的です。扱いは取引の内容によって異なりますので、判断は個別事情によります。
電子保存でつまずくのは、制度の理解よりも「どこに置いたか分からない」という単純な問題であることがほとんどです。日付_取引先_金額のファイル名、年と月の2階層、月に一度の見直し。この3つを先に決めておけば、書類が増えても運用は同じままです。ほかの帳簿づけとあわせて整えたい方は、個人事業主の経理、まず作るべきExcel5選もあわせてどうぞ。
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